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恋とニコチン。

mitsou

砂漠の小舟 (水星文庫)作者: 丹生谷貴志出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1987/04メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (3件) を見るずっと欲しかった本を買えてうれしい。 少しずつ読んでいる。 この人の筆致だけが信じられる。 言葉が物質…

12.23

なんだか小憎らしい顔つきになってきたね。と夫の人がミツを見て言う。 私もそう思う。 知恵がついてきた、ということなんだろう。言葉の存在をうっすら理解しはじめてきたみたいだ。 ある音声とある事物がつながりを持っていることに気づく瞬間、というのが…

11.26

ミツが弱っているみたいだ、と保育園から連絡があった。 いつもとても元気で、よく食べるしよく笑う、歩くのもじょうずになって、いないいないばあが大好きで、 でもそんなミツが、どこかおかしい、と。離乳食の時期から食べるのが好きで、食事の苦労はあん…

9.18

このまえ1歳になったミツを預けて、仕事に出ている。 1日のなかで一緒に過ごす時間が極端に少なくなったし、彼のことを考える時間もこれまでに比べて減った。安心して預けられる環境があって喜ばしいはずなんだけど、なんだか「収奪」された……じかんどろぼう…

8.6

風の中で、すべてがいっせいに動き出す。現存在が遍く弱々しい震えをおびて、すでに私の眼では捉えることができない。ミツの眼はおそらく未だ機械に近いのだろうと思う。統覚から限りなく自由な野生の眼だ。見るべきものなど何もないという恐ろしいほどの自…

7.20

外に連れていくと、ミツはいつも風をつかまえようとする。ずいぶん伸びた手足をさらにのばして、空の端まで指の限りに。ちいさなてのひらに緑と蒼のにおいを含んだ風が柔らかくあたり、丸くかたまって指の間をすこし舐めて、きらきら散らばりながらもう一度…

5.13

ミツは今日、初めて誰かの悪意に出会った。 それは、もっと丁寧に言えば悪意というほどのものでもない、些細なできごと、ちょっとした驚き程度のものだ。 先月からベビースイミングに通っている。 プールの更衣室には0歳から3歳までのこどもたちが芋の子を洗…

4.30

ねえ、ミツ、今日はいい天気だったねえ。ぽやぽやあったかくて、なんだか光がけむたいみたいで、眼がしょぼしょぼしちゃって、こういうのが春っていうんだとおもうよ。ねむいねえ。ねむいよ。おとうさんはもう起きてるかなあ。ミツが最近夜泣きをするから、…

4.16

幸福かどうかなんて、奴隷のする問いだよ。そうは思わないかい、ねえ、ミツ?

2.9

2月に入ったとたん歯が生え始めて、サーモンピンクの柔い歯茎にまっしろな、かたい、とてもちいさな、宝石みたいな歯の欠片が埋まっている。まるで宝探しをしているような気分で、指の腹で何度もそっと触ってみる。 今日で生後5ヶ月になる。離乳食を始めてみ…