11.26
ミツが弱っているみたいだ、と保育園から連絡があった。
いつもとても元気で、よく食べるしよく笑う、歩くのもじょうずになって、いないいないばあが大好きで、
でもそんなミツが、どこかおかしい、と。
離乳食の時期から食べるのが好きで、食事の苦労はあんまりなかったのだけれど
保育園の先生はこう言った。
なんというか、不安やさびしさを紛らわせるために、むりやり急いで食べ物を口につめこんでいるみたいに見えるんです。
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ショックでしゃがみこんでしまった。
まだ1歳をすこし越えたばかりだというのに。
私の脳内ではあの悪夢が再現されていた。
あの狂ったような真っ暗の10年間。摂食障害の底なし沼。
誰も判ってくれないと、声を出さずに叫び続けたワンルームの部屋、いつになったら終わるのか、どこまで続ければいいのか、
はやくおわれはやくおわれなにもかもしんでしまえと呪いの言葉だけおなかにため込んでいた10年。
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一緒にいてあげる時間が少ないせいもあるかもしれません、
なるべく時間をとってあげてくださいね、と先生は言った。
ぐらんぐらんする頭を抱えて、いまやるべきことは何かを一瞬で理解した。
もっとあそぼう、ミツ。
仕事は仕事でなんとかなる。するよ。
ごめん。
ほんとうにごめん。
ミツは今日も笑っていた。
まだしゃべれないミツはそれでも身体いっぱいで感情を表現しようとする。
おまえの些細な苦悩になんて、たいした意味はないよ、と彼は言った。
私もそれに全面的に賛同する。
あそぼう、ミツ。
どこにだって行こう。空気が澄みとおってきたよ。