good-bye, hi-lite.

恋とニコチン。

12.23

なんだか小憎らしい顔つきになってきたね。

と夫の人がミツを見て言う。
私もそう思う。
知恵がついてきた、ということなんだろう。

言葉の存在をうっすら理解しはじめてきたみたいだ。
ある音声とある事物がつながりを持っていることに気づく瞬間、というのが
毎日毎日ミツに訪れている。
そういうときは、シナプスがぱちり、と連結する音までこちらに聞こえてきそうな
気がするくらい、はっとした顔をしている。
われわれの発する音声を支えにして、ミツは瞬間ごとに世界を切り取っている。
その手触りはときにざらついていたり切っ先が鋭かったり、必ずしも
心地いいものではない。
世界が形あるもの、名前を持つもの、つまりひとつの概念として立ち上がってくる
という日々の強烈さは、いかばかりのものだろう。
激しい叫び声をあげることが増えた。
「今、ここ、」を分節化することに対する怒りと抵抗のようにも思われるほど、
その叫びは強い。

ごはんのたべかた、ずいぶん落ち着いてきましたよ。

と保育園の先生に言われてほっとする。
実際に過ごす時間はほとんど変わっていないけれど、一緒にいるときは
できる限り身体に触れたり傍にいたり顔を見つめたり、するようにしたんだけど
それが直接的に良かったのかどうかは判らない。

これだけ過剰にべったりしている自分を省みて
もうこれは恋か、と思う。
甘やかしてる、とか言われてもぜんぜん気にならない気にしない。
今は、これが必要なんだろうと思う。

ミツやミツ、こっちにおいで。
そして向こうに行きなさい。